中国最新レポート「激減する墓石注文」▶ 記事一覧
6月23日から27日まで、福建省のアモイ・南安・泉州・恵安・福州各市の墓石・外柵工場と原石丁場を見てきました。最新の中国墓石業界の動きをご報告申し上げます。
「激減している日本からの墓石注文」
中国各工場の社長さん、中国在住10年以上の日本の方たちの話を総合すると、今年上半期東日本(北海道・東北・関東・中部)が前年比10~20%、西日本(関西・四国・九州)は20~30%激減しているのではないかとのこと。
墓石・彫刻工場が密集している恵安崇武地区では、今年に入り50社以上が廃業・倒産に追い込まれている。7月以降、日本からの注文はさらに減ると思われるので、中国工場は深刻である。
「労働者不足と過重労働」
6月は日本からの注文が最も多い月。毎週土曜日に日本向けコンテナが出港するため、水・木・金曜日は大忙しだ。水・木曜日は徹夜という工場も多い。私も夜10時頃工場を訪れたが、暗い裸電球の下、20歳前後と思われる若い女性が何十人も、手磨機でレンゲや花立・香炉を磨いておられた。何時まで働くのかわからないが、大変な重労働である。よくやっておられると思う。
中国の石工場では、今人が集まらなくなっている。石工場だけでなく、あらゆる職種で人が不足している。石工場は歩合制で、他の工場の5割以上給料が多いのに、3K企業(キツイ・汚い・危険)のため若い人から嫌われている。賃金を前年比2割~3割上げているのに、なぜ人が集まらないのか。各工場の社長さんは頭を抱えている。
「アモイ⇔台北直行便が開通」
この春の台湾総統選挙(韓国でいえば大統領選挙)で親中国派の国民党馬英九氏が当選すると、中国の胡錦涛首席はすぐに台湾を訪問した。今まで犬猿の仲であった中国と台湾がなぜ急に親密化するのか。中国は台湾の工業技術とお金がほしいし、台湾は中国に工場をつくって世界に製品を輸出して儲けたいのである。
アモイと台北が飛行機で40分となれば、同じ閩南語(中国語の中の福建省方言)を話す民族同士すぐに仲がよくなり、アモイ市は台湾人と台湾企業に占領されるだろう。上海・深圳(しんせん)のマンションは半値になっているのに、ここアモイでは価格が上昇している。
「アモイ周辺は土木建設ラッシュ」
アモイ空港のあるアモイ島は、島である。現在この島から対岸の中国本土まで約4km。鉄道橋1本、道路橋2本、海底トンネル1本の合計4本を建設中である。
なぜこんなにいっぺんに橋を作るのか。アモイで長年働く日本の石材商社マンに話を聞いた。「アモイ対岸の同安地区やその周辺に多くの工場団地が造成中である。今後台湾から500~1000社の家庭電気・携帯電話・半導体・自動車・機械部品・食品・繊維・雑貨などの工場が進出して来るのではないか。」と話された。
高速鉄道建設のために、アモイ同安の614原石丁場は半分閉鎖させられた。南安市石井の外柵工場(約200社ある)も近い。これらの台湾工場が出来れば、3K企業の石工場に勤める人はいなくなる。
福建省の石工場の半分が廃業すれば、すぐに日本向けの墓石の値段は2~3倍になる。そんな時代が来ないよう祈りたいのだが・・・。
「不足する原石」
今年6月から9月まで、北京市に近い河北省(河北山崎・万年青)や山西省(山西黒)山東省(中国マホガニー)や他の省でも、原石の採掘が禁止されている。火薬やダイナマイトが過激派に流れ、五輪の妨害やテロに使われるのを、警備当局が警戒しているせいである。
そのため、これらの原石が福建省に入荷して来ない。10月になって採掘が再開されたとしても、冬の期間は厳しい寒さで、河北山崎・山西黒は閉山になってしまう。これらの原石は今でも値上がりが激しいが、年末には品切れになる可能性もあるのではないか。
東日本の外柵に多く使われている623原石は、丁場が閉鎖されて1年以上になる。現在各工場に在庫されている原石を使い切れば終わりになる。
インド産白みかげ、アーバングレーも不足している。インドの長雨のため何ヶ月も原石が出荷されず、インドの港に着いても中国へ行く船とコンテナが無いそうである。福建省ではもう半分以上の工場で、原石が切れているのではないか。
「北京オリンピック前夜」
この夏8月8日午後8時8分8秒(北京時間、中国人にとって8は大変縁起のよい数字)に開会される北京五輪まで残り30日を切った。世界的名建築と言われるメイン会場の鳥の巣スタジアムの、開会式のS席が80万円以上で売買されているとか、北京市内の一流ホテルは10連泊以上の上客しか予約を受けないとか、景気のよい話があふれている。
かつてアジアで開催された五輪(1964年の東京大会・88年のソウル大会)は、どちらも歴史に残る大成功であった。その結果両国は世界から認められ、貿易立国として高度経済成長の道を歩き始める。両国民も自国の将来に希望を持ち、労働所得も増え続け、国民生活は豊かになっていった。
1936年のベルリン五輪の9年後」、ナチスドイツは戦争に敗れ崩壊。1980年のモスクワ五輪の11年後ソ連は崩壊する。
現在の中国はその内部に大きな問題を抱えている。貧富の差の拡大。役人の汚職腐敗。チベットなどの人権問題、水不足と大気汚染、ゴミ問題・・・・食料品、物価、ガソリンの高騰などである。国民の不満はうっ積している。温家宝首相は「五輪を通じて民主的で開放された中国を世界にお見せする」と世界のマスコミに公約された。
黄河文明発祥から5000年以上。世界人口の1/3以上の13億人の人口を持ち、日本の面積の20倍以上の中国。四川大地震や石油価格上昇の荒波の中で、北京五輪が成功するか否かが、中国国民の生活が向上するかどうかの鍵を握っている。
ドイツ・ソ連ではなく、日本・韓国のようなすばらしい大会になるよう願っている。
